ジュートって何?
ジュートは、主に農業用・工業用の麻袋などに使用されている繊維で、黄麻(コウマ)と呼ばれるアオイ科ツナソ属の一年草から出来ています。
高温多湿地域で栽培され、生産量はインド・バングラディシュが全体の9割を占めています。昔は「ドンゴロス」や「南京袋」と呼ばれていました。
ジュートの用途
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ジュートフェルト
天然繊維のジュートから作られた、環境に優しい不織布です。
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ヘッシャンクロス
横糸1本・縦糸1本で織った布で、ジュート麻をしっかり織り込んだラフな素材感が特長です。
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ガンニークロス/サッキングクロス
横糸1本・縦糸2本(織機による)で織った布で、生地は厚くヘッシャンクロスより太い糸を使います。
ジュートの良いところ
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環境に優しい
ジュート製品は使用後に焼却しても有害なガスが出ないため、環境に優しい素材です。
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地球温暖化防止
二酸化炭素の吸収力が非常に高く、地球温暖化を抑制します。
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経済的な天然繊維
天然繊維の中で最も安価。さらに吸湿・放湿・通気性・寸法安定性に優れ、熱にも強いです。
ジュートの生産工程
はじめに種をまいて3〜4ヶ月で3m前後に育ちます。
その後刈り取られ、1〜2週間水につけ(レッティング)発酵させ、靭皮(じんぴ)という外側の皮が剥がれます。
そこから繊維を取り出すことができ、更に水洗い・乾燥すれば天然繊維になります。
ジュートの種類
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白色
ホワイトジュート Corchorus Capsularis
美しく非常に希少度が高い種で、強度は他の種に比べると劣ります。
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赤褐色
トッサジュート Corchorus Olitorius
ホワイトジュートと並ぶ代表的な種で、高品質で柔らかく強度があります。
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白赤褐色
メスタ Meshta and Kenaf
ジュートの代用として使われることが多く強度は他の種に比べると劣ります。
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黒赤褐色
カッチングジュート Cutting
皮付きのものが多く、変形に強い剛性がある種です。
ジュート・世界の歴史年表
ジュートの歴史を遡ると、1526年のムガル帝国時代の歴史書に村人がジュート製の服を着ていたと記載されており、その後ムガル帝国は衰退していき英蘭が南インド進出をしたことでジュート業界も大きな影響を受け今に至ります。
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ジュートの歴史 | 世界の歴史 | |
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ジュートの最初の貿易業者「イギリス東インド会社」が約100トンのジュートを輸出 | 1790s |
米国で特許制度が確立 フランスにて第一共和制が樹立 米価騰貴のため江戸・大阪で打ち壊し |
スコットランドの紡績工が動力駆動の亜麻の機械を改造してジュートヤーンを紡ぐ方法を学ぶ インド亜大陸からの原料ジュートの生産と輸出が増加 |
1830s |
フランス7月革命の勃発 パリのエトワール凱旋門完成 大塩平八郎の乱 |
コルカタ近くのフーグリ川にあるリシュラに 最初のジュート工場を設立 |
1850s |
世界初の万博、ロンドン万国博覧会開催 クリミア戦争がパリ条約で終結 ペリーが黒船で浦賀へ来航 |
5つの工場が950の織機で稼働 | 1860s |
リンカーンがアメリカ合衆国大統領選に当選 アメリカ南北戦争勃発 薩長同盟成立 |
38社が10億ヤード以上の布と4億5000万以上の バッグを輸出 |
1910s |
第一次世界大戦勃発 スペイン風邪が大流行 日本各地で米騒動が発生 |
68,377の織機が主にコルカタ近くのフーリー川に集中 技術の進歩により、黄麻布やヘシアンクロスと呼ばれる より細かい生地が製造可能になる |
1930s |
第二次世界大戦勃発 五・一五事件/二・二六事件 |
イギリス領インド帝国滅亡後、ジュート産業の起業家がインドを去ることになり工場のほとんどがマールワリーの商業集団に引き継がれる | 1940s |
太平洋戦争開戦 北大西洋条約機構(NATO)が設立 日本国憲法公布 |
バングラディシュ解放後、パキスタンのジュート工場のほとんどがバングラディシュ政府に引き継がれバングラディシュジュートミルズコーポレーションを設立 | 1970s |
二度のオイルショックで世界経済が混乱 大阪万博が開催 |